その1 (Introduction)

今手持ちのタコ5の録音をスコアを見ながら、いろいろと聴き比べています。

が、実際聴いてみると、演奏によって細部の違った部分が以前トロンボーンの田村さんが掲示板で指摘した部分以外にもいくつかありまして、特に終楽章は、テンポ設定や音譜の改変など、あまりにも不思議な点が多すぎて、演奏比較をなかなか書き込めないでいます。どうやら作曲時や初演時の複雑ないきさつが絡んでいるようです。

この曲は、今世紀(これもあとわずかですが)の作品ということもあって、私には歴史の淘汰の時期を経て、解釈のスタンダードが確立されたのが、ごく最近のような印象があります。

私の手持ち50種ほどの録音を聴いた印象として、大きく以下の3つの傾向に分けてみました。

・1939年の出版譜以前の、おそらく作曲者自筆原稿からの筆写譜による
初演者ムラヴィンスキーとムラヴィンスキーから大きな影響を受けたロシア・東欧系の一部の指揮者

・ソ連国外の放送初演者ロジンスキー(初演時は作曲者自筆原稿からの筆写譜を使用)から始まる、主にアメリカ系の指揮者若しくはオーケストラによる演奏の系譜。
バーンスタインなどがこれに該当。終楽章が異様に早い。

・上記に該当しないもの。
ハイティンク、インバルや日本の指揮者たち

完全に私の独断と偏見でいささか乱暴な区分けですが、以後この流れに沿って紹介していきたいと思います。

【初演後数年の演奏の記録】

・1937年11月(初演)…ムラヴィンスキー指揮/レニングラードフィル
・1938年4月(国内初録音)…ムラヴィンスキー指揮/レニングラードフィル
・1938年4月(国外放送初演)…ロジンスキー指揮/NBC交響楽団
・1938年6月(国外演奏会初演)…デゾルミエール指揮 パリにて
・1938年12月(放送録音)…ムラヴィンスキー指揮/レニングラードフィル
・1939年4月(国外初録音)…ストコフスキー指揮/フィラデルフィア管弦楽団
・1939年4月 楽譜出版
・1942年 ロジンスキー第1回録音&クリーヴランド管

(2000.12.9)

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