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「惑星」を聴く13・・・ラトルとプレヴィン

「サイモン・ラトル(1955〜)」
リヴァプール生まれ、打楽器と指揮を学び19才でジョン・プレイヤー指揮者コンクールで優勝。1980年からバーミンガム市交響楽団の芸術監督に就任。内外のオーケストラからの芸術監督の要請を全て断り、バーミンガム市響を国際的なレベルにまで引き上げました。
2003年からアバドの後任としてベルリンフィルの芸術監督に就任予定。

・フィルハーモニア管弦楽団、アンブロジアンシンガーズ
(1980年12月29、30日 ロンドンキングズウェイホール スタジオ録音)
ラトル25才の録音で、本格的なオーケストラ録音でのわが国のデビュー録音となりました。演奏はダイナミックでスリリング、それでいて細部まで神経の行き届いた25才とは思えない完成度の高いもの。
打楽器が小気味良く決まり、リズムのキレも良くオーケストラもよく鳴った熱い演奏です。特に“火星"や“天王星"は打楽器をうまく生かし、金管群の音を割った響きが壮絶な効果を上げていて、まるで「春の祭典」を彷彿させます。“金星"や“土星"のデリカシーに満ちた表現も素晴らしい現代的な名演奏でした。

「アンドレ・プレヴィン(1929〜)」
ベルリン生まれ、ナチスの台頭するとパリに逃れその後アメリカへ移住、モントゥーに指揮を学ぶかたわら映画音楽の作曲とジャズピアニストとしても優れた仕事を残した才人。

・ロンドン交響楽団、アンブロジアンシンガーズ
(1973年  スタジオ録音)
プレヴィンがロンドン響首席指揮者だった時期の録音、その後ロイヤルフィルを振って86年に再録音をおこなっています。静的で非常に美しい演奏です。ロンドン響の艶のある弦楽器と輝かしい管楽器を最大限に生かし、安っぽさを感じさせない格調の高い仕上がりとなりました。テンポは総じて遅めで、“土星"はおそらく最も遅い演奏。
大編成オーケストラのスペキュタクラーな部分を強調するタイプではなく、伝統的なイギリス紳士風の節度ある静的なスタイルの落ち着いた演奏でした。中でも品格のある“金星"は非常に印象に残ります。


(2002.09.14)
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