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「ラプソディー・イン・ブルー」を聴く12・・・プレヴィン
アンドレ・プレヴィン(1929〜)
ユダヤ系ロシア人の家庭にベルリンで生まれる。ベルリン高等音楽院、パリ音楽院で学んだ後にカリフォルニアに移住。モントゥーに指揮を学んだ後、1940年代からMGM映画の音楽監督として作曲家・ジャズピアニストとして活躍。映画音楽では4回オスカーを受賞、ジャズピアニストとしても数多くの名盤を録音しています。
1963年セントルイス交響楽団を振って指揮デビュー。その後ヒューストン響、ロンドン響、ピッツバーグ響、ロイヤルフィル、ロスアンジェルスフィルの音楽監督、首席指揮者を歴任。プレヴィンは大変な才人で、作曲、ジャズピアニスト、指揮者としてそれぞれの分野で一流の業績を残しています。

「ラプソディーインブルー」は、このようなプレヴィンにうってつけのプログラムで、
NHK響に客演した際にも演奏しています。ジャズピアニスト時代にコステラネッツの棒で録音を残し、こちらは既に紹介しました。今回は指揮とピアノを兼ねた二つの演奏を聴いてみました。

・ロンドン交響楽団
ピアノ:アンドレ・プレヴィン
(1971年6月4、6日 ロンドン、アビーロードスタジオ スタジオ録音)
確信に満ち落ち着いたテンポ運びの楷書風のガーシュイン、それでいてジャズのフィーリングも充分。コステラネッツ盤の若々しさとどっしりとしたピッツバーグ響との再録との中間を行くバランスの取れた名演。
特に後半が良く、練習番号39のグランディオーソでのオケとピアノソロの微妙なズレや、後半長いソロの終結部からオケが入る部分の間の取リ方の鮮やかさは絶妙。
14から19直前と21から24までのカットはバーンスタイン盤と同じです。
ただこのカットで飛ぶ部分は、バーンスタイン盤よりも唐突な印象を受けました。なぜだろう?
曲の終結部40の2小節前、ソロとオケの強奏部分でオケを完全カット、ピアノソロを強調させていました。

・ピッツバーグ交響楽団
ピアノ:アンドレ・プレヴィン
(1984年5月18,19日 ピッツバーグ ヘインズホール スタジオ録音)
アメリカのオケを振った再録音。多少崩した自由なテンポ運びの手慣れた演奏。
しっとりとした叙情的な演奏とも言えると思います。
フィリップス特有のホールトーンを多く取り入れたソフトフォーカスの録音がさらに
その印象を助長しています。その分シャープな小気味良さは薄れました。
プレヴィンのピアノソロは相変わらず見事なもので、3つの録音中最高の出来。
なおカットとオーケストレーションは旧盤と同じです。
(2004.03.08)
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