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「ラプソディー・イン・ブルー」を聴く14・・・プレートルとデュトワ
「ジョルジュ・プレートル(1924〜)」
フランスのヴァジエ生まれ、クリュイタンスに師事。現在活躍するフランスの指揮者の中ではジャン・フルネと並んで巨匠的存在です。プレートルは、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場などの一流の歌劇場で若いころから活躍し、特にマリア・カラスといくつかの優れたオペラ録音を残しています。
いかつい風貌とがっしりとした体格、なんとなく外見からは繊細さとは程遠イメージですが、コンサートで聴かせるフランス物はなかなか洒落た音楽を聴かせます。

・パリ音楽院管弦楽団
 ピアノ;ダニエル・ワイエンベルク
 (1950年代 スタジオ録音)
プレートル若き日のフランスのマイナーレーベル、デユクレテトムソンへのモノラル録音。バーンスタインやプレヴィンよりも以前の録音で、国内盤が出たかどうかはわかりませんがバーンスタイン盤以上の大変な名演奏だと思います。

パリ音楽院管の名手達の洒落ていて艶の有る管楽器の響きが実に魅力的、冒頭のクラリネットなど思わずくらっとなるような色っぽさです。
オッフェンバックの音楽を聴くような華があり、それでいてかすかに漂う退廃的なムード。ジャズのフィーリングにも不足しないスピード感溢れる演奏です。
中でもピアノのワイエンベルクがアドリヴを入れながら見事なテクニックを披露、練習番号32以降アジタート・ミステリオーソの目の回るような早さは凄まじいものがあります。オケ奏者たちもピアノに触発され、自発性に満ちた妙技を披露、個人の技量は確かなのに、集団になるとそれぞれが自己主張をしてまとまりを欠く傾向のあるパリのオケですが、プレートル引き締まった指揮で、一つの方向に奏者を引っ張っている見事な名演奏でした。


「シャルル・デユトア(1936〜)」
スイス、ローザンヌ生まれ、ローザンヌ響、エーテボリ響の指揮者を経て1977年モントリオール響の音楽監督となり大ブレイク、楽団を短期間の内に世界的な水準に磨き上げ、フランスのオケよりもフランス的ともいえる個性的なオケに育てあげました。
録音もかつてのアンセルメの再来とも言えるほど、フランス音楽を中心に数多くの大ヒットを飛ばしました。1991年からフランス国立管の音楽監督を兼任、N響の常任指揮者となるなど、わが国でも御馴染みの存在。

・モントリオール交響楽団
 ピアノ:ルイ・ロルティ
(1988年 7月 モントリオール 聖ウスタシュ教会 スタジオ録音)
美しい音による華やかでダイナミック、何不足ないするすると流れる演奏。
ピアノも達者、アンダンティーノのゆったりとした歌などなかなかの聴き物ですが、しかしあまりにもあっけらかんとしていて、プレートルを聴いた後では印象が希薄でした。
(2004.03.22)
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