ミッシェル・プラッソン(1933〜  )
ミシェル・プラッソン (1933年10月2日 - )

パリ生まれ、父親はヴァイオリニスト、母親はオペラ歌手。
パリ音楽院でラザール・レヴィにピアノを、ウジェーヌ・ビゴーに指揮を学ぶ。1962年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝、エーリヒ・ラインスドルフ、レオポルド・ストコフスキー、レナード・バーンスタインらに師事。
1965年にメス歌劇場音楽監督に就任、1968年からはトゥルーズ・カピトール歌劇場音楽監督に転任。1983年には歌劇場監督を辞任。

・トゥルーズ・カピトル管弦楽団
アンネ・ゾフィ・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)、
トーマス・ハンプソン(バリトン)、
マリー=クレール・アラン(オルガン)、
オルフェオン・ドノスティアッラ
(トゥールーズ、ノートル=ダム・ラ・ドラド教会、1999年4月9-10日)

この曲では意外と少ないフランスの指揮者とオケによる録音。
実力派として名高い著名なソリストと合唱団を起用。

オケを目立たせずにゆっくりじっくり職人的にまとめあげた演奏でした。
教会内での残響多めの録音のために、全体的に音像がぼけていて細部が不明瞭。
時としてモノラルのように響きます。

合唱のピアニシモでの美しさと各声部のバランスの良さが出色。

「キリエ」の男声合唱が絡み合い数を増しながら最後にソプラノ合唱がピアニシモのまま明瞭な響きで加わってくる部分や、「アニュスディ」中間部フルートソロのあとで、アルトと男声部が一体となった響きの上でソプラノ合唱が空中を浮遊するかのようにユラユラ揺れていく部分など見事なものです。

「イントロイトウス」では木管楽器に独特のアクセント。
「キリエ」でのトランペットとトロンボーンのコラールはやや控えめ。

3曲めでは、ホルンのグレゴリオ聖歌のコラールを下で支えるチェロが実に良いタイミングで入ります。32小節の4つ前の伴奏をほとんど聞こえませんでした。
クライマックスの輝かしく盛り上がりますが、バリトンソロが入るあたりではオルガンが一転して明るい響きに切り替わり、大きな場面転換となるのが老練。
続くQuanoでの平和な気分へ自然に導いていきます。
「サンクトウス」輝かしい出来、続く「ベネディクトゥス」との対比が良く、
「ピエイエズ」のオッターのソプラノソロは声の質が明るすぎるものの熱唱。

「アニュスディ」最後のコールアングレとクラリネットソロなど泣けてくるような美しさ。

「ラクスエテルナ」の冒頭ファゴットが柔らかな弦楽器の響きの上で美しく響きます。
途中から入るアランのオルガンの響きのバランスも絶妙。

遠く遥か彼方から聞こえてくる声で始まる「終曲」は美しいまさに天国の響き。

ラテン的な明るさの中にほのかな暖かさの感じられる演奏でした。

二人のソロはさすがに欠点のない完璧なできであるものの、私にはうまく歌いすぎているように感じられます。

教会の中の宗教的な雰囲気はよく出ていますが、残響過剰の録音に細部がマスクされいるのが惜しいと思います。
(2017.10.21)