「ラフマニノフの2番を聴く」28・・・ロシアの指揮者たち6 ビシュコフ
「セミヨン・ビシュコフ(1952 - )」

レニングラード生まれ、レニングラード音楽院で学び、1973年ラフマニノフ指揮者コンクールで優勝、75年にアメリカに移住しバッファローフィルの音楽監督、パリ管の音楽監督を経て現在ケルン放送響音楽監督。無名時代のビシュコフをカラヤンが自分の後継者候補の一人として挙げて注目されたこともありましたが、パリ管時代はいまひとつ、ぱっとしなかったように記憶しています。

・ パリ管弦楽団
(1990年5月21 - 22日 パリ、サル・プレイエル スタジオ録音)
パリ管の音楽監督就任直後の初録音。かつてトレンディドラマ「妹よ」に使われたのはこの演奏でした。カットなしの全曲録音ですが、シンバルやティンパニの加筆が随所で聴かれます。

パリ管の特性を生かし明るく美しく丁寧に歌い上げ、旋律の横の流れを重視した演奏でした。ただし第4楽章終盤で、練習番号89からアチェレランドを効かせつつティンパニとシンバルを加えながらクライマックスに導く手法など、計算されたあざとさが感じられるのも事実。

中では第3楽章の清潔な叙情、第4楽章の品の良い第2主題の歌わせ方と、硬いティンパニの音に導かれる第4楽章の73以降緊張感に満ちた盛り上がりなど、聴き手にアピールする部分もありますが、ロシア的な暗さやアクの強さは感じられず、全体にのっぺりとした印象を持ちました。

第1楽章最後の音には、ティンパニと大太鼓を加え、第2楽章練習番号38の19小節目、第4楽章練習番号77の2小節めの4拍めにティンパニ追加、練習番号89の9小節めの3,4拍のティンパニのトレモロなし、続くPiu mosso5小節めの1拍めにシンバル追加。
(2006.06.27)