「ラフマニノフの2番を聴く」45・・・ガンゼンハウザー
ステファン・ガンゼンハウザー

ニューヨーク生まれのアメリカの指揮者。ザルツブルク・モーツァルテウム、ニューイングランド音楽院で学ぶ。デラウエア響およびペンシルバニア州のランカスター響の音楽監督。

ガンゼンハウザーは、一通りのレパートリーをとにかく揃えようとしていた黎明期のNAXOSを支えた指揮者の一人で、ヴィヴァルディの「四季」からグリエールの交響曲第一番やブロッホの交響曲のようなマニアックな曲までの膨大な録音がありましたが、NAXOSが老舗のメジャーレーベルに肩を並べるほどのレーベルになった現在では、よりハイレベルな(?)指揮者たちの録音に取って代わられ、多くは廃盤となってしまったようです。

・スロヴァキア放送交響楽団(ブラチスラバ)
(1989年5月 ブラチスラバ国立放送スタジオ スタジオ録音)

ガンゼンハウザー一連のNAXOSへの録音。90年代当初に発売されたときは、この曲唯一の廉価盤CDだったと記憶しています。オケ表記は当初チェコ放送交響楽団でした。(1993年チェコとの連邦解消後にスロヴァキア放送響と改称)

オケの鳴りが悪く、全篇軽い響きのドルチェの音楽になっています。音楽に推進力も感じられず第1楽章の練習番号[7]後半のmoderatoから音楽が停滞。
練習番号[15]からのヴァイオリンの歌わせ方にも妙な癖があり、聴感上半拍分足りないように聞こえます。最後のティンパニはなし。
第2楽章は軽快であるものの中間部のMeno mossoでは切れ味の鈍いぎこちなさが感じられ練習番号[37]の以降の急速なテンポの変化も不自然。

第3楽章は速いテンポで淡々と進めたすっきり系。オケの響きは相変わらず干し柿のように鄙びていますが、ここでは不思議な味わいとなり良い雰囲気を出しています。この楽章は小細工なしでも十分効果的に書かれている曲なので、何もしなかったのが良かったと思います。

第4楽章ではオケの非力が気になります。音楽に勢いがなく響きも軽め、これではこの楽章は楽しめません。再現部に至りテンポを上げますが時すでに遅し、音楽の流れとはちぐはぐなものとなっていました。

線が細く甘いムードに流され気味、パンチにも欠けるのが気になりました。ただ、明確な個性は感じられないものの丁寧にじっくり演奏しようとする演奏者の意図は窺えます。これが第3楽章で成功していたと思います。


(2007.03.03)