「ラフマニノフの2番を聴く」23・・ロシアの指揮者たち2 スヴェトラーノフ
「エフゲニー・スヴェトラーノフ(1928 - 2002)」

モスクワ生まれ、モスクワ音楽院でガウクに指揮を師事、
1954 - 1964  ボリショイ劇場 主席指揮者
1965 - 2000  ソビエト国立響(ロシア国立響) 音楽監督
フリーになった2000年以降は客演の日々を送り、N響にも客演しスケールの大きな芸風を披露してくれました。

スヴェトラーノフは、ラフマニノフの交響曲を比較的早い時期から取り上げていて、4種類の正規録音があります。

・1964年  ボリショイ劇場管
・1985年  ソビエト国立響
・1995年  ロシア国立響
・2000年  NHK響   ライヴ録音

他に1968年のソビエト国立響とされるCDもあり、今回はこのCDと1995年録音を紹介します。

・ ソビエト国立交響楽団
(1968年    スタジオ録音)
旧ソ連の国営メロディア音源によるMoscow Studio ArchivesのCD(MOS2002)。しかし、いろいろと調べていくと1968年録音のスヴェトラーノフ指揮のラフマニノフの2番の録音はこのCDだけで、LP期にも発売された形跡は見当たらず、この1968年録音という表示はかなり怪しいものです。

ただ、スヴェトラーノフ独自の加筆である第4楽章練習番号87の1拍めのシンバルや、ロシアのオケ特有のヴィヴラートたっぷりのブラスの咆哮を聴くと、スヴェトラーノフ本人の録音に間違いはないように思います。1964年のボリショイ劇場管との録音と同一かもしれません。

切れ味鋭い引き締まったリズムとロマンティックな歌に不足せず、オケを豪快に鳴らした壮年期のスヴェトラーノフの典型的な演奏でした。

第1楽章Allegro Moderatoの主題では最初はスラーを掛けながらで一筆書きのようにサラリと流し、2度目は多少テンポを速め、スラーを掛けずに進行。テンポは大きく揺れますが楽想の移行は自然です。この楽章特有の憧れと焦燥感の揺れ動きが見事に音になっていました。最後の1音にティンパニ付加。

鋭角的なリズムの切れを見せる第2楽章では、冒頭部分からびゅんびゅんに飛ばしますが、多少リズムが転びがちなのが気になります。トランペットのどぎついヴィヴラート強調のModeratoではぐっとテンポを大きく落とし大きな広がりを演出。続くCon motoは、いきなり猛スピードといったぐあいで、目まぐるしい変化を聴かせます。

息の長い第3楽章では、かなり遅いテンポにもかかわらずブレスを感じさせないクラリネットソロが驚異的。ヴァイオリンよりも高い音域でヴィオラやチェロが旋律を歌う場合のバランス感覚も秀逸。練習番号54のホルンのゲシュトップをことさら強調。

速いテンポでエネルギッシュに盛り上がる第4楽章では、アダージョ回帰以後猛烈に加速し管楽器が複雑に絡みながら進行する練習番号76の後半から熱狂的な展開を聴かせていました。練習番号87の1拍目にシンバル付加。

以下が演奏時間とカットの箇所です。(  )はプレヴィンの1973年

「第1楽章:18'11" ( 18'59" )」
・カットなし。
「第2楽章:9'12" (10'00")」
・カットなし。
「第3楽章:15'40" (15'37")」
・ カットなし。
「第4楽章:10'58" (13'59")」
・ 練習番号61の9小節めから練習番号62の9小節めまで
・ 練習番号76から80の12小節前まで

*この演奏は、有名な「エフゲニー・スヴェトラーノフのホームページ」
http://homepage3.nifty.com/svetlanov/
を管理されているはやしひろしさんから、ボリショイ劇場管との1964年録音と同一演奏であるとのご教示を受けました。ありがとうございました。(5/26記)


(2006.05.25)