「シベリウスの2番を聴く」45・・・アブラヴァネル
「モーリス・アブラヴァネル(1903〜1993)
オスマン帝国領サロニカ生まれ、幼くしてスイスに移住。移住先のアパートに指揮者のアンセルメが住んでいたため教えを受け、同時にミヨー、ストラヴィンスキーらの面識を得る。ベルリンに留学し地方歌劇場のコペルトアールとして経験を積みました。
カッセル歌劇場の首席指揮者の地位を得ましたが、1933年ユダヤ系のためパリへ亡命しワルターに師事。その後アメリカへ亡命。

アメリカでは、メトロポリタン歌劇場の指揮者陣に加わった後、モルモン教の総本山ソルトレイクシテイにあるユタ響の常任指揮者となり、非常設の地方オケをコツコツとメジャーオケにまで育て上げました。

アブラヴァネルには史上初のマーラーの交響曲全集録音をはじめとした膨大な量の録音がありシベリウスも交響曲の全集録音を残しています。

・ ユタ交響楽団
(1977年、ユタ州ソルトレイクシティ スタジオ録音)
米ヴァンガードへの交響曲全集中の1枚。ユタ響はモルモン教の全面的なバックアップを得て良い楽器を揃えたオケと言われていますが、その割にはずいぶんと痩せて鄙びた響きに聴こえるのは録音に問題があるのでしょうか。

初めて聴いた時は、遅めのテンポの変化に乏しい凡演といった印象でしたが、何度も聞くうちに地味ながら味のある演奏のように思えてきました。小細工の無い端正で繊細な音楽運びには好感が持てます。

たたみかけるようなパンチには不足しますが、第一楽章中間部の203小節以降の感動的な盛り上がりや、第ニ楽章Andante sosutenutoの弦楽器と木管楽器との美しい対話などなかなかの聴きもの。
第二楽章始めのファゴットの枯れ木のような荒涼とした響きや第三楽章のオーボエの素朴な味わいなどは曲想に合っているのかもしれません。第三楽章後半から第四楽章への息の長い盛り上げと、ジワリジワリと緊張感を高めていく第四楽章後半は見事なもの。

オケをバランス良く豊かに鳴らす部分にアブラヴァネルの非凡さが見て取れました。オケの個々のソロは非常に優秀。

今回聴いたのは、米ヴァンガードのCDです。多少枯れていますが音そのものは自然な響きの難のないもの。
なおカップリングの交響曲第3番は非常な名演でし
(2010.02.25)