「シベリウスの2番を聴く」40・・・ジョージ・セル その2

・ ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
(1964年11月26日 アムステルダム コンセルトヘボウ ライヴ録音)

スタジオ録音二日前のライヴ。燃焼度の低さが感じられたスタジオ録音に比べ緊張感に満ち、凄愴なほどの迫力が漂う演奏でした。

第一楽章の206小節からのホルンのシンコペーションの狂ったような強調はさながら機関銃のよう、228小節のトランペットには大きなルバート。240小節からの二分のニ拍子に入る大きなクライマックスでは、興奮のあまり金管群がバラけるほど。
第ニ楽章も音楽の流れにうまく乗り、第三楽章の猛烈な速さでもコンセルトヘボウ管は一糸乱れぬアンサンブル。オーボエソロに応えるヴィオラの表情豊かさも印象的です。

第四楽章の歌い方もスタジオ録音と大きく異なります。トランペットのファンファーレは大きく粘り、37小節で突然ふっと力を抜き137小節から加速。197小節まで大きなカーヴ描いて盛り上がります。
350小節からの最後のブラスのクライマックスでは、コンセルトヘボウ管の威力全開。胸のすくような迫力で聴かせ、最後の3つの和音のバランスはセルならではの完璧さで響き渡り、最後フェルマータは極端に長く伸ばしていました。

スタジオ録音のシベリウスでは機械的なまでの冷たさも感じましたが、この演奏はセルとしては意外なほど燃え上がった演奏。息つく間もなく全曲を一気に聴かせてしまいます。
終演後の客席も大きく沸いていました。

今回聴いたのは、コンセルトヘボウ管の60年代のライヴ録音を集めたコンセルトヘボウアンソロジーからの一枚。60年代のライヴとしては音の状態が悪く、第三楽章のオーボエソロ前のティンパニなど、ほとんど聞こえませんでした。
(2009.12.18)