「シベリウスの2番を聴く」35・・・フランス系の指揮者たち モントゥーその2
・ ボストン交響楽団    
(1961年    ライヴ録音)

古巣のボストン響への客演時のライヴです。このときはリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」から7つのヴェールの踊りと、イストミンをソリストに迎えたシューマンのピアノ協奏曲が演奏されています。

速いテンポと密度の濃い凝縮された音の響き、非情なまでの厳しさが漂う演奏でした。

第一楽章からすぱっとした思い切りの良い速めのテンポで開始、妥協を許さぬ近寄りがたいほどの緊張感が漂います。フォルテからピアノへの移行、息の長いクレシェンドとデクレシェンドのバランスもごく自然。185小節からのコントラバスにチューバを重ねるのは、クーゼヴィツキー以来のボストン響の伝統。

第二楽章のチェロとコントラバスのピチカートのリズミックな躍動感は終始変わらず。
98小節からの古風で田園風の響きも印象的。198小節からの大きな歌も美しく、204小節から加速し、最後の音は木管楽器を長く伸ばします。

第三楽章に入るとさらに緊迫感が増幅。第四楽章一歩手前でタメを作りつつ第四楽章へ。

フィナーレ終盤へ向け、ひた走るエネルギッシュな加速は、とても80過ぎの老人とは思えない若々しさです。音楽は澱みなく流れ、242小節のホルンセクションの絡みの裏で動くヴァイオリンも美しく響きます。

終盤のトランペットソロから加速して、最後の336小節でもテンポを落とさないのはスタジオ録音と同じですが、最後のティンパニの大きな改変はクーゼヴィツキー由来のこの演奏のみの解釈。
オケも指揮者も燃えた演奏で、最後の和音が消えないうちに盛大な拍手が沸いていました。

今回聴いたのは、Disco Archivaから出ていたCD−Rです。ステレオ表記がありますが、音に広がりがなくレンジも狭く響きもデッド。限りなくモノラルに近い音で、この演奏の真価を十分に捉えていませんでした。
(2009.10.03)