「巨人を聴く」31・・・・独墺系の指揮者たち2  スイトナー
「オットマール・スウィトナー(1922–2010 )」

インスブルック生まれ、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で指揮をクレメンス・クラウスに師事。1942年インスブルックのチロル州立歌劇場でデビュー。ピアニストとして活躍した後、レムンシャイト市、ファルツ管の音楽監督。
その後、東ドイツに移り、1960年からドレスデン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場の総監督を歴任。1971年初来日、N響名誉指揮者。
東ドイツ崩壊後、ベルリン国立歌劇場総監督を辞任してからは完全に引退。
一時は消息も不明となりさまざまな憶測が流れました。

スウィトナーのレパートリーは広く、独墺もの以外にもドヴォルザークやグリーグにも名演を残しています。

マーラーは若い頃にドレスデン国立歌劇場管を振った「巨人」の録音があり、他にベルリン国立歌劇場管との第2番「復活」と第5番のスタジオ録音があります。
N響との「巨人」と「復活」のライヴもCD化されています。なお1984年のN響とのライヴ映像はかつてレーザーディスクのN響マエストロシリーズとして発売されていました。

・ドレスデン国立歌劇場管    1962年  スタジオ録音
・NHK交響楽団        1973年  ライヴ録音
・NHK交響楽団        1984年  ライヴ映像



・ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
(1962年 2月  ドレスデン、ルカ教会 スタジオ録音)

旧東ドイツの国営レコード会社、ドイツシャルプラッテンへの録音。
ドイツグラモフォン社との共同制作の録音で、かつて国内盤LPは日本グラモフォンから出ていました。

第1楽章リピートなし、第2楽章リピート有。1912年版使用。第4楽章シンバルなし。

柔らかで残響の多い録音、ドレスデンのオケの美しい響きが堪能できる演奏です。
繊細でモーツァルトのようなユニークなマーラー。

第一楽章ゆっくりとした序奏、柔らかでロマンティック、ピアニシモが美しく深い森のようなホルンの音が印象的。主部も遅く悠然とマイペース。
ベートーヴェンの「田園」のような牧歌的な趣。
251小節のpoco acclで初めてテンポが動きます。


第二楽章も遅いテンポ。326小節からのティンパニの入りなど、ほとんど1906年版と一致していました。38と40小節めのティンパニの強調は珍しい解釈。
リピート記号のあとからさらに遅くなります。
静かで女性的なトリオの232小節からの同じフレーズの繰り返しでは2回目を遅くしていました。

第三楽章冒頭のコントラバスソロが美しく、田舎節丸出しのレントラーに続き、中間部の静けさ、各楽器が混然と溶け合った美しさは他の演奏からは聞けないものです。

第四楽章は、柔らかくそして美しく鳴らした冷静にして沈着な演奏。しかしてオケが十分鳴りきっているのが見事。
この楽章の使用譜は1906年版とほぼ一致していますが最初のトランペットはホルンと重なっています。
496小節のシンバルは入らずにコーダ終盤のホルンにはトランペットとトロンボーンを重ねていました。

今まで1967年のラッツ校訂版以前の演奏を何種類か聴き続けた限りでは、この録音の使用譜が一般的な1912年版ではないかと思います。

今回聴いたのは、70年代に日本グラモフォンが出した廉価盤LPです。

以前聞いた印象では固い音というイメージがあったのですが、今の装置で聴くとかなり柔らかい紗がかかったような音でした。今ではベルリンクラシクスからCDが出ています。
(2015.02.02)