その14 / 日本の指揮者たち(2)
尾高忠明と小林研一郎
尾高忠明(1947-)

新響(N響)の指揮者でもあり尾高賞に今なお名を残す作曲家尾高尚忠を父に持つ尾高忠明は、東京フィルなどの常任指揮者を歴任し、イギリスのBBCウェールズ響の首席指揮者として活躍、この三月まで読響の常任指揮者。 端正でまとまりの良い音楽造りが特徴です。
読売日本響とのCDは、同団創立35周年の1997年にイギリスのコニファーレーベルに録音されました。楽譜に極めて忠実、テンポは遅くじつに整った演奏ですが、オケの音色が特徴に乏しくモノクロームなために、鄙びたような印象を受けました。
第2楽章でのたいそう耽美的なヴァイオリンソロやルバートたっぷりの演奏はそれなりに面白くもありますが、他の楽章とのバランスが取れていない感じです。
ゆっくりと丹念に歌い上げた第3楽章はエレジー(悲歌)としてのこの楽章の特徴をうまく描き出していました。第4楽章は弦楽器の同じフレーズの繰り返し部分など、変化をつけようとする意図は良くわかるのですが、細かなところに気配りをしすぎるあまり、全体としてのスケールの大きさが後退してしまいました。

小林研一郎(1940-)

山田一雄と渡邉暁雄に師事。1971年にショスタコーヴィッチの第5番で東京交響楽団を振って指揮デビュー。ハンガリーの名門オケハンガリー国立響の常任指揮者でハンガリーを中心に活躍。現在チェコフィルの指揮者陣にも名を連ねています。
得意のこの曲は、今まで日本フィルとハンガリー国立響とのライヴが録音されていましたが、今一つ演奏者が納得せずCD化に至らずお蔵入り。 1999年の名古屋フィルとの録音でようやくCDリリースにこぎつけました。
これは、曲の冒頭から「うーん!」といったコバケンの唸り声で演奏が始まる、激しく熱のこもった演奏です。両端楽章のクライマックスの爆発ぶりも堂に入ったもの。
第一楽章での葬送の行列を連想させる静かなテンポの揺れとクライマックスでの静と動の 対比は見事なものです。激しい部分では足をどんどん踏み鳴らしながらオケを叱咤激励、早いテンポでオケをぐんぐん煽りたてていく炎のコバケンの面目躍如たる演奏。
クライマックスの部分で、唐突にテンポを速めるのが多少不自然であるのと、強奏の部分で力が入りすぎていて、何度も繰り返して聴くには難もありますが、曲の最後まで緊張感の持続した燃焼度の高い好演でした。

(2001.4.15)

Back Top Next